【TOEICと英検を比較】難易度や社会人の活用の違いを解説

<この記事でわかること>
TOEICと英検どっちを受けるべきか迷っている社会人向けに、TOEICと英検を比較しました。
TOEICと英検の換算表をもとにした難易度の対比、試験概要などの違いについて解説いたします。
転職に必要なTOEICスコアも企業例を挙げてご紹介していますので、当記事が少しでもキャリア選択のヒントになれば幸いです。

TOEICと英検の難易度を比較

TOEICと英検のスコア換算表の対比

CEFRレベルTOEIC L&R
Listening
TOEIC L&R
Reading
英検
C2該当なし該当なし該当なし
C1490点~455点~1級
B2400点~385点~準1級~1級
B1275点~275点~2級~準1級
A2110点~110点~準2級~2級
A160点~60点~3級~準2級

参照:「TOEIC® Program各テストスコアとCEFRとの対照表」「CEFRレベルと英検CSEスコアの対応

TOEIC L&Rテストはリスニング・リーディング各495点満点、合計990点満点で採点されます。

2022~2023年度の最新公式データによると日本国内の平均スコアはTOEIC610点前後となっており、CEFR B1~B2レベルに該当します。

CEFRの定義づけのなかでこのレベルは「自立した言語使用者」として一定の評価がなされています。ビスネスで必要なCEFRレベルもB1以上と言われていますので、社会人が英語学習を進めていくうえでの基準になり得ます。

対して英検は合否で結果がわかる仕組みで、4技能すべてにおいて6~7割程度の正答率が合格の目安とされています。

CEFR B1~B2レベルに該当する英検のグレードは2級~準1級となっており、高校卒業程度から大学中級程度の義務教育終了レベルを想定した問題が出題されます。

国内の大学入試では、英検の保有によって外国語科目の試験免除や点数加算などの優遇を受けられる制度がありますが、英検2級以上の保有を条件としている難関大学が多いことからも2級の有用性がわかります。

TOEICと英検の比較に用いた「CEFR」について

CEFR(セファール)とは、英語などの外国語の習熟度や運用能力を同一の基準で測定する国際標準の指標で、4技能を正確に評価し、A1~C2の6段階に分類します。

A1が初級者レベル、C2が熟練者レベルであることを表しています。

CEFRは略称で、“Common European Framework of Reference for Languages”(ヨーロッパ言語共通参照枠)が正式名称です。

発祥のヨーロッパ圏を中心に世界各国で広く認知・活用されています。

参照:「CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)

TOEICや英検は運営団体が異なり、出題内容や採点基準、配点などが独立したものであったため同じ条件下で難易度を比べることができませんでした。

共通指標であるCEFRを用いることでTOEICと英検の対比が可能になり、客観的に自身の英語力を把握したり、グローバルなシーンでスキルを証明したりすることができるようになっています。

TOEICと英検の試験概要を比較

計測技能、出題分野、問題数、試験時間の違い

TOEIC

TOEIC L&Rテストはリスニング(約45分間・100問)、リーディング(75分間・100問)の2技能が問われ、合計約2時間で200問に答えるマークシート方式の試験です。

途中休憩時間はなく、全問解き切る場合、1問にかけられる最大時間は36秒です。※単純計算

リスニングセクションでは会話やナレーションを聞いて設問に解答します。Part1~Part4の4部構成で、写真描写問題、応答問題、会話問題、説明文問題が出題されます。

リーディングセクションでは印刷された問題を読んで設問に解答します。Part5~Part7の3部構成で、短文穴埋め問題、長文穴埋め問題、1つまたは複数の文書問題が出題されます。

両セクションとも、本文や問題文すべて英文のみで構成されています。

ビジネスシーンや日常生活に関するトピックが多く出題され、いわゆるビジネス英会話、日常英会話と呼ばれるような実用的なコミュニケーションスキルを問う内容となっています。

英検

従来型英検、英検S-CBTともにライティングのみ記述式(またはタイピング式)、スピーキング除く他技能はマークシート方式です。

日常生活から教養や科学、医療などを題材としたアカデミックな内容、ビジネスシーンまで、実際に英語を使用する様々な場面を想定した試験内容となっています。

最近問題がリニューアルされたライティングでは、英文要約と英作文が1問ずつ出題されます。

【従来型英検】

英検3級以上は一次試験と二次試験に分かれ、別日程で受験します。

一次試験ではリーディング・リスニング・ライティングの3技能の筆記試験を行い、二次試験でスピーキング技能を面接官との会話で測定します。

試験時間は級によって異なりますが、例えば2級の場合は一次試験(筆記85分 / リスニング約25分)、二次試験(英語面接約7分)という構成です。

【英検S-CBT】

英検S-CBTはパソコンを用いた受験形式で、3級以上が対象となっています。

4技能すべての試験を1日で受けられ、試験時間は級によって異なりますが、例えば2級の場合はスピーキング15分・リスニング25分・リーディングとライティングで85分、合計125分という構成です。

従来型、S-CBTの難易度は変わりません。

受験可能エリア、試験日程の違い

TOEIC

TOEICは全国47都道府県すべてで受験することができます。

試験会場に大学が使われるケースが多く、他にも専門学校やテストセンター、研修センター、貸会議室などが用意されています。その中からTOEICの申込時に希望を出した受験地とお住まいの郵便番号をもとに割り当てられます。

特定の試験会場を指定したり、決定後の変更、キャンセル(返金)、オンライン受験は受け付けておらず、申込人数のバランス等によって希望の受験地に当たらない場合があるため注意が必要です。

試験会場の確定情報は、試験日の約1週間前に郵送で送られてくる受験票の記載で知ることができます。

TOEICのテストはほぼ毎月実施されており、毎月土日のどちらか1日以上、午前と午後1回ずつ枠が設けられています。

英検

英検の試験会場も対象となる施設、割り当て方法、決定後の確認方法、指定等ができない注意点が共通しています。英検二次試験についても同様です。

隣接した2つの級を同日に受けられる「ダブル受験」の試験会場が別々に設定されてしまった場合のみ、運営側に調整をリクエストすることができます。

試験日程は、従来型英検と英検S-CBTで異なります。

従来型の場合、年間3回、原則日曜日に実施されています。一方のS-CBTは通年毎週土日に実施され、一部地域では平日に受験することも可能となっています。

合否発表スピードの違い

TOEIC

試験結果は試験日から17日後にインターネット公開され、試験日から30日以内に公式認定証が郵送で届きます。

英検

【従来型英検】

一次試験の結果は試験日から22日後にインターネット公開され、公開日のさらに7日後に成績表が郵送で届きます。

二次試験の場合は試験日から9日後にインターネット公開され、その7日後に成績表が届きます。

【英検S-CBT】

試験日から約27日後にインターネット公開され、公開日のさらに13日後に成績表が郵送で届きます。

TOEICと英検どちらを受けるべきか?

TOEICはキャリアアップを目指す社会人におすすめ

海外と取引のある大手企業をはじめ、営業系や企画・事務系、クリエイティブ系、技術系などの幅広い職種で英語力を生かすことができます。

企業がキャリア採用で英語力のある人材を求める場合にまず挙がるのがTOEICスコアです。英検が広く認知されている現在でも、ビジネスシーンで英語力を証明する際にはTOEICの方が実用的となっています。

実際にテストのなかでビジネスシーンを想定した問題が多く出題され、ビジネス用語も頻繁に使用されますので、実務とリンクした英語学習ができる点でも受けるメリットがあります。

以下に掲載している中途採用の募集要項は一例ですが、TOEIC700点以上を条件としている企業が目立っています。今後のスコア目標設定にお役立ていただければ幸いです。

ビジネスで必要なTOEICスコア例

企業名部署/職種TOEICスコア
任天堂株式会社  ゲームソフト開発コーディネーターTOEIC900点以上
三井物産株式会社フレートモビリティソリューション事業部 DX推進・新価値創造室TOEIC800点以上
日本郵船株式会社陸上職事務系TOEIC 750点以上
日産自動車株式会社すべてTOEIC730点
株式会社JALインフォテックプロジェクトリーダーTOEIC700点以上

英検は4技能の把握や学習意欲を上げたい社会人におすすめ

英検は、難関大学の合否判断や海外留学(「英検留学」)、通訳ガイド試験などにも導入されている信頼性の高い資格試験です。

リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能を把握したい場合には、それらすべてを測定できる英検が役立ちます。

また合否結果が掲載された成績表には、解答状況や各技能の正答数、学習アドバイスなども確認することができるため、再チャレンジ、次の階級へのステップアップのモチベーションが続きやすい工夫がされています。

点数だけではなく受験の質にこだわりたい社会人におすすめと言えます。

TOEICと英検の比較まとめ

この記事では、TOEICと英検を比較し、TOEICと英検のどっちを受けた方がいいか、難易度や試験概要の違いなどについて解説いたしました。

この記事を書いた人
Biz英会話ナビ編集部

英語専門メディアでの執筆・編集歴7年以上、寄稿経験あり。英会話事業会社や受講生への聞き取り、実際のサービス体験、信頼できる情報源からの調査・引用をベースに、法令遵守したSEOライティングを心掛けています。プライベートでは、大卒、英検・TOEIC受検経験あり。現在は1年間の英語コーチング受講で外資転職・TOEIC150点アップした勉強家の夫と二人暮らし。海外旅行は数ヶ国。早期退職後一から英語を学び直し海外移住を楽しむ父に会いに行く計画中。

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